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会計で薬のお金を払うと、長谷部が待っている車まで急ぐ。
「あ、お帰りなさい。大丈夫でしたか?」
「…うん」
(薬を貰うまでが一々長かったけど…)
そんなことを思っていると、長谷部がクスクス笑った
普段から口数が少ない俺だが、長谷部は俺の気持ちを汲み取るのが上手いのか、何を思っているのかだいたい分かるらしい。
「車、出しますね。」
声と同時にゆっくり車が動く
俺が口数が少ないのは今に始まったことじゃない。
小さい頃から無口で無表情で、周りによく心配された
…でも兄は俺とは真逆だった。
兄は小さい頃からよく喋り、コロコロと表情が変わる人だった
そんな兄は2つ上の18歳。
普段から人当たりがよく、組の奴らにも信頼されている
だけど、そういう人に限って怒ると怖い。
…まだ10歳にもなってない頃だったと思う
小学校の時は「ヤクザの息子」だからといじめられていた。
ある日を境に急に、物が無くなったり、見えないところを蹴られたり殴られたりされた。
担任は気づいていた様だったけど、俺の両親にバレるのが怖かったんだろう、見て見ぬふりをしていた。
俺も俺で、抵抗すらしなかったから、それが癪にさわったんだろう。ある日、放課後に裏庭に呼び出された。軽い気持ちで行った裏庭には5人の同級生がいた…勿論男子だ。
その日はいつも以上に強い力で殴られて、蹴られて、馬乗りにされてされるがままだった。…やり返そうと思えばできた。
でもしなかった。
俺はなんでこんなことされるのか分かんなかったけど、きっと何か気に障ることをしたんだと思ったからだ。悪いのは俺なんだろう、って…だから反抗しなかった。
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