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「…ゆ…さ、お…て…さ、い」 ふわふわとした感覚の中で長谷部の声がする… 「祐さん!起きてください、着きましたよ」 今度は肩を掴まれ揺さぶられた。 ハッとして目が覚める。…また寝てしまった。 夜ちゃんと、寝れるかな… 「あ、そうだ。」 車から出ようとドアを開けかけたところで長谷部が思い出したように言う。 「今日、神崎組の若がいらっしゃるそうですよ」 神崎組の若。 ここから少し離れたところを占めている神崎組 その神崎組の若頭といったら、 「冷酷」 「女嫌い」 「同じ人間とは思えない」 などとよく耳にする。 同じ人間とは思えないって相当なことをしたんだろうか… と、いうのも俺は神崎組の若…壱さんとは面識がない。 だから彼がどんな人なのかすらもわからない。 「なんで壱さんが…?」 「なんでも、親父さんが若に仕事を押し付けすぎて嫌になって逃げてきただとか…」 「…えぇ、何その理由」 親父さんというのは多分、組長さんで… その組長さんが壱さんに仕事を押し付けて、それが嫌になって壱さんは逃げてきたのか…。 組長なんだからせめて自分の仕事はちゃんとやろうよ…
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