DAY3

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DAY3

ブチッブチッブチッ 私は草むしりをしていた。既にむしった草でバケツは半分くらい埋まっている。 ブチッブチッブチッ なぜ私がこんなことをしているのか? もうお分かりだろう。 そう蚊だ。 すべては蚊の撲滅のため。 あれから部屋を調べたが結局奴らがどこから侵入したかはわからなかった。 窓は締め切っていたし換気扇も閉じてある。 物理的に入れる隙間はない。 ありえないことが起きている。 いくら考えても奴らの侵入経路はわからなかった。 しかしそこで発想を変えてみた。 なら元を立てばいいんじゃね?と。 それで休日を返上し、草むしりなんかに励んでいるわけだ。 同じアパートの住人の評価も上がり一石二鳥である。 ブチッブチッブチッ 蚊への憎しみから始めた草むしりだがこれが意外と悪くない。 なにせ私は今、確実に奴らのコロニーにダメージを与えているのだ。楽しくないわけがない。 「ふふっ…。ふふふふふふ」 猟奇的な笑みが漏れる。 楽しい。 実に楽しい。 ぷぅ~~ん ぷぅ~~~ん ぷぅ~~~~ん 奴らも黙っていない。反撃してくる。 しかし私は手を止めない。多少の被弾は覚悟の上だ。刺すなら刺すがいい。 ブチッブチッブチッ 私の戦いは約二時間に及んだ。体の各部がかゆい。 服の隙間、すなわち袖と軍手の間、足首、しゃがむと露出する背中、首筋などが無数に刺されていた。だが――― 私は手を腰に当て、胸を張り、きれいになった庭を見て自信の勝利を確かめた。 私の部屋の周りには草はもう一本も生えていなかった。 今日は、今日は私の勝利だ…! 先日犠牲となったミートソースを思い胸を熱くする。 私は道具を片付け戦場を後にした。 そして私の生活につかの間の平和が訪れたのだった。
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