蚊

DAY4

５分ほどが経過して私の両腕は真っ赤にはれ上がっていた。白い部分の方が少ない。
どうやっても当たらない。
蚊と私の間には圧倒的な実力差があって、永遠にこちらの攻撃は奴には当たらないのではないか？私は肩で息をしながらそんなことを考え始めていた。
しかし、その時はきた。

パン

投げやり気味に手を打つ。当然当たらない。しかし

ぷぅ～ん

蚊はすぐ近くの壁にとまった。

（…？）

壁を叩く。

バシッ
ぷぅ～ん

また近くの壁にとまる蚊。
私は口元を緩ませた。やはり反撃してこない。
確信した。奴はスタミナ切れだ！

見ればどこか飛び方にも元気がない。よろよろと飛ぶ蚊をじっくりと追いつめていく。
そして蚊はノートパソコンのディスプレイにとまった。
賢いやつだ。私がディスプレイを強く叩けないと考えたのだろう。偶然だと思われるかもしれないがこれまでの戦いぶりを鑑みるとこれは奴の作戦だ。奴は知略にも長けている。
しかし所詮は苦し紛れの策。

パシ

ディスプレイが壊れない程度の力で叩く。

ぷぅん

短く飛び攻撃をかわしまたディスプレイにとまる蚊。