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ブブ ブブブブ ブブ
聞いたことがある。この音は確か…。
その時視界の端を黄色い影が通り過ぎた。
ブブ ブブブブ ブブ
振り返り音の主の正体をみた。どう猛表情の黄色い顔、黒と黄の縞々の体。
スズメバチだった。
ブブ ブブブブ ブブ
「ひぃ…!!」
戦慄。スズメバチがまっすぐ飛んでくる。私は手を、体を滅茶苦茶に動かしながら部屋を逃げ回った。
だがスズメバチは私から一定距離以上離れようとしない。
ブブ ブブブブ ブブ
「ひぅ…ひっ…ひっ…!」
ずっと付きまとってくる。あれは完全に私を狙っている。命を、命を狙われている。
死にたくない。
私は涙目で部屋を飛び回り、ベッドから毛布を引っぺがして頭からかぶりしゃがみこんだ。
ブブブブブブブブブブ
直ぐ近くで羽音がして止んだ。
毛布の上をスズメバチの影が歩き回るのが見えた。
ああ、そういえば、スズメバチって服の上からでも刺してくるんだっけ。
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