第二章 沙耶の場合

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第二章 沙耶の場合

 目が覚めると()()の耳に笑い声が届いた。  沙耶はそっと店の奥から顔を出す。  本棚を倒して作った簡単なバリケードの内側に、一人の男子高校生を見付けた。  男子高校生が沙耶に気付くとニッコリ笑う。 「こんな所にまだ生きてる人が居たなんて。良かった」  振り返った男子高校生を見て、沙耶は驚く。  男子高校生の制服は泥と血で酷く汚れていた。  その姿に沙耶は警戒の色を濃くする。  だが、それでも沙耶にとって、久し振りの生存者なのは変わらない。 「あ、あの――良かったら一緒にご飯でもどうですか?」
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