0人が本棚に入れています
本棚に追加
第二章 沙耶の場合
目が覚めると沙耶の耳に笑い声が届いた。
沙耶はそっと店の奥から顔を出す。
本棚を倒して作った簡単なバリケードの内側に、一人の男子高校生を見付けた。
男子高校生が沙耶に気付くとニッコリ笑う。
「こんな所にまだ生きてる人が居たなんて。良かった」
振り返った男子高校生を見て、沙耶は驚く。
男子高校生の制服は泥と血で酷く汚れていた。
その姿に沙耶は警戒の色を濃くする。
だが、それでも沙耶にとって、久し振りの生存者なのは変わらない。
「あ、あの――良かったら一緒にご飯でもどうですか?」
最初のコメントを投稿しよう!