第二章 沙耶の場合

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「えっ? 良いんですか? ヤッター!」 「大したものはありませんが、どうぞ中へ」  男子高校生は足元に置かれた鞄を持って沙耶に近付く。 「俺、海斗って言います。でも良いんですか? 俺みたいのが急に来たら、みんなビックリしません?」  沙耶は海斗の笑顔に、沙耶は少し安心する。 「私は沙耶。ここは私一人しか居ないから安心して」  海斗は鞄の中にさりげなく手を入れる。 「そっか。それなら良かった。……もしかしてご飯食べてるところに来ちゃった?」 「いえ、これから作ろうかなって。さあ、どうぞ奥へ」  沙耶は店の奥へと戻りながら行った。 「そうなんだ! わざわざすいません」  そう言って海斗は鞄から手を出す。  海斗が『ご飯作って貰ってからにしよう』と思った事を、沙耶は知る良しもない。 「折角なんでお肉でも焼こうかなって、お肉は大丈夫ですか?」 「勿論! 大好きですよ」  海斗は沙耶の後を追う。 「さぁ、入って下さい」  沙耶は先にドアを開けて中に入ると、海斗の為に左手でドアを押さえる。 「私もお肉が好きなんです。久し振りに食べられて嬉しい」  そう言って笑う沙耶。扉の影に隠れの右手には大きな肉切り包丁が握られていた。
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