ブラック・ミックスジュース

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「悟、昨日図書室行った?」 翌朝、後ろの席の響也が教室に入るなり尋ねてきた。 「え、ああ。行った」 「何してたんだよ、三班は当番じゃないだろ」 彼は図書室を掃除すべき場所としか見ていないらしい。 「別に。勉強だよ、勉強」 「はあ?勉強なんてしなくてもいつもいい点とるくせに」 そう言ってグーの手を肩に押しつけてくる。 響也は口は悪いが、いつもカラッとしていて話しやすい。だからつい 「植物図鑑を見てたんだよ」 と答えてしまった。 「え、え、なんで?」 「なんとなく」 「なんとなくで植物図鑑んん?わっかんねえな~~おれわっかんねえわ~~」 そう言いながら彼は学校指定の鞄を片付けに、教室の後ろへ行ってしまった。
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