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昼でも薄暗い、魔物がうようよする森の中。
時折聞こえる獣の咆哮や、鳥が飛び立つ音に驚きながら進む俺たち。
宝の地図に示された、伝説の鉱物、オリハルコンの在処は近い。
「もうすぐだな。
気を引き締めていこう」
俺の言葉に、みんなが頷く。
数々の苦楽を分かち合った、かけがえのなき仲間だ。
それは、これからも変わらない。
今までの事を思いだし、少し感慨に耽っていると……。
パキッ。
乾いた音が辺りに響き渡る。
実際には、ただ、地面に落ちていた小枝を踏んだだけ。
大した音もない。
が、冒険においては、これが命取り。
途端に、地面に響き渡る、何か大きな生き物が走ってくるかのような、激しい振動。
「もう!マリク、何やってくれてんのよ!」
鬱陶しげなナゴの言葉に、賛同するかのように頷くカミラクとセリパ。
クソッ!俺だってやりたくてやったわけじゃないのに!
ただ、たまたま枝を踏んだだけなのに。
逃げるより、戦った方がいいと判断し、各々が迎撃態勢をとる。
数秒後、目の前に現れたのは、神代に創られたとされる、青銅の巨人、タロスだった。
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