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──分かってる。たぶん、本当はどこかでずっと知っていた。
「それで、目が覚めたらこの前の続きをしよう──閑」
「……那月……」
高校生活という名の庇護の傘から抜け出た自分たちのうえには、これから先、いったいどんな雨が降り注ぐのだろう。夏のにわか雨、秋のしのつく長雨、そして冬には、指先までかじかむようなみぞれ混じりのつめたい雨を前に、立ちつくす日もまたあるのかも知れない。
──それでも、そう、怖れなくていい。
こんな温かな春雨ならば、彼とふたり濡れることも案外悪くないから。
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