21人が本棚に入れています
本棚に追加
この時、マーヴェラは思った。
あぁ、二人にとても心配をかけてしまい、悪いことをしたのだな、と。
「一時はどうなるかと思ったよ……。目が覚めてよかった……」
「……」
「3日も目を覚まさないんだもの。心配したのよ。大丈夫?」
優しい両親に囲まれ、マーヴェラは問われるままにゆっくりと頷いた。
そんな彼らの傍にいた男性医師は、隣にいる助手と思われる女性に何かを告げると、女性はすぐさま手に持っていたボードに何事かを書き留める。そして医師はマーヴェラの脈をとり、熱を測り、何か他に異常がないかどうかを確かめた。
「うん。熱も下がって容体も安定しているようですね。意識もハッキリしているようですから、もう大丈夫でしょう。念のため薬を処方しておくので、3日はきちんと服用してくださいね」
耳につけていた聴診器を首にかけ直しながら、助手が用意して持ってきた薬をリリアナに手渡した。
リリアナはそれを大切そうに胸に抱きしめて微笑む。
「ありがとう、ゲーリ。忙しいのに来てくれて……」
「いいえ。他ならぬリリアナ様のご用命とあれば、いつでも駆け付けますよ」
にっこりとほほ笑み、ゲーリと呼ばれた医者は荷物を手に席を立った。
「また何かあれば呼んでください。あと2、3日はデルフォスに滞在しておりますので」
「ありがとう、ゲーリ殿」
レルムも礼を述べると、ゲーリは笑みを浮かべて恭しく頭を下げ部屋を後にした。
「私も、水を変えて参りますね」
ドリーも手桶を持って立ち上がると部屋を後にする。
最初のコメントを投稿しよう!