縣の嫁

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「福光って、前の与党幹事長の?」 「あぁ、そうだ。その次男坊を信孝の嫁に貰った」 「・・・嫁、ですか?」 すぐに理解出来る者は誰一人としていない。 しばらく経過して、皆が吃驚仰天していた。 男の嫁などあり得ない。 驚くのも自然の事で。 ある程度覚悟はしていたもののーー 好奇の目に晒されいたたまれなくなった。 「信孝が心底惚れた相手だ。同性だろうが、年が離れていようが、ワシは構わない。若いのにようやってくれているし」 もしかして誉められている? 「頭のお眼鏡にかなう人なら、うちらは何も申しません」 そう言って皆さん、一同に頭を下げてくれた。 「16も離れた、若い子を嫁さんに貰った信孝が羨ましい」 「昆、俺を酒のつまみにするな」 「別にいいだろう」 信孝さんと昆さんは相変わらず仲がいい。 一央さんはというと、まだ憮然としていて、手酌でお酒を呑んでいた。 「ナオさんもどうぞ」 昆さんに御猪口を何気に渡された。吉崎さんに呑ませられ、その後大変だったんだから。 「昆さん、僕、未成年です」 「それは分かりますよ。信孝と三三九度の盃を交わしたら、そう言ってるんです」 「三三九度の盃!?」 って何?
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