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表情変えず昆さんが答えていた。
「なら、縣家も安泰だ」
それから酒盛りが始まり、僕は広間と台所を何回も往復する事になった。
もう疲れた。
指一本動かすのもしんどい。
夜の10時を回り、やっと解放され部屋に案内して貰った。ふかふかの真新しい布団が一組だけ敷いてあって、そこに倒れ込むなり猛烈な睡魔が襲ってきた。
寝ちゃだめだ。
まずお風呂入って、それから信孝さん待って・・・しないと・・・だめ・・・ーー
5分も経たないうちに、僕は呆気なく睡魔に負けた。
目が覚めた時、己れの不甲斐なさに情けなくなってしまった。
やってしまった・・・
全身から血が引くとはまさにこの事で。信孝さんの腕枕でぐっすり眠ってしまっていた。ドクンドクンと逞しい胸元から聞こえてくる心音は心地が良くて、しかも抱き締めてくれる腕も温かくてーー
ようやく彼の許に戻ってきたという安堵感からか、折角目が覚めたのに、また眠りへと落ちていった。
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