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「信孝さん、決して、邪魔はしないから、尚也の側に置いてくれ。俺は、尚也の世話しか能のない男だ。私設秘書とは名ばかりで、何の役にも立たない」
吉崎さんは、その大きな体を小さくし、信孝さんと、昆さんに深く頭を下げた。
「福光さんには、貴方が必要なのでは!?」
昆さんが聞くと、
「四人の姉と、その夫が、礼の支えになる。俺がいれば、礼は甘えて、ダメになる」
「実の兄に甘えるのは、普通の事だと思いますが」
昆さんのその言葉に驚いた。
聞き間違いじゃない。確かに、兄と・・・。
「ブラコンなんだろうな、昆さんと一緒で。弟たちが可愛いくて仕方ない。だからこそ、礼を突き放さないといけない」
「吉崎さんは、私と一緒ですね。私も庶子で、あえて、縣の姓を名乗らないのは、跡目相続で、無駄な争いを避けるため、貴方は、地元の名士である福光の家に傷がつかないように、庶子であることを隠した」
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