彼と兄と生きていく明日へ

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二人の会話に、頭が付いていかない。 「ナオ、大丈夫!?」 「信孝さんは、知ってたの?」 「まぁ、大体はね」 信孝さんが、吉崎さんへと歩み寄っていった。 ちょうどその時、乗車するやまびこ号がホームに滑り込んできた。流線型の車体に、子供たちは大歓声を上げた。 ー只今、到着の新幹線は、九時四十分発、仙台行き。発車まで、暫くお待ちくださいー アナウンスが、構内に流れる。 「吉崎さん・・・いや、福光翔さん、自分を偽らずに、本当の名前で生きていくのなら、ナオの側にいてもいい」 「信孝さん」 「信孝で、いいよ。あと、ナオは、俺のだからーー大事な妻だから。それだけははっきり言っておく」 周囲の目もあるなかで、真摯な面持ちで、熱っぽく言われ、ドキドキが止まらない。 恥ずかしけど、すごく、うれしい。 「ナオ、いいよね、これで!?」 ダメだとはいえないこの雰囲気に押され、こくりと頷くと、信孝さんも、吉崎さんも、笑顔になった。 「昆、また、来るよ」 「ナオさんだけでいいですよ」 「何、それ」 「私だって、ナオさんを独占したいですし」 「お前には、龍と光希がいるだろう!?」 ん!? 今、光希さんの名前が出たような気がしたけど・・・。 あれ!? ーまもなく、発車します。ご乗車のお客様はお急ぎ下さいー 流れるアナウンスに音がかき消されて、よくは聞こえなかった。
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