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昆さんに別れを告げて、慌ただしく乗車した。
最初こそ、はしゃいでいた子供たちも、いつの間にか、柚さんと、僕の膝の上で、すやすやと穏やかな寝音を立てて眠り始めた。
あどけない可愛らしい寝顔を眺めつつ、四人で色んな話しをした。柚さんが何気に発した一言で、光希さんが、龍さんと、昆さん二人とつき合っている事が分かり、吃驚仰天したのはいうまでもなく。
「ナオ、大丈夫?」
信孝さんが心配そうに顔を覗き込んできた。
「驚かせるつもりはなかったんだ。ごめん。上手く説明出来ないけど、もともと光希が昆に片想いしていたんだ」
「そしてその兄は、私の主人と長く交際していたの。3年前、性暴力を受けた私は、この子達を授かってしまってーー堕ろそうとしたら、兄が身を引く形で、主人を私に託したの」
柚さんが口にしたのは衝撃的な過去だった。
「やだな、そんな深刻な話しじゃないから。驚かないで」
彼女は、もう昔の事だからとあっけらかんとしていた。母親は強い。
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