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「龍!」
いつも穏やかな信孝さんが珍しく声を荒げた。
「だったら、ちょうどいい。信孝に手取り足取り教えて貰え。こうみえて、信孝は・・・」
「龍、それ以上は・・・」
信孝さんが苦悶の表情を浮かべ、首を横に振った。呻くように、止めてくれとーー
「ナオさんには、少し刺激が強かったようですね」
昆さんがにこやかに笑う。
「ナオ、風呂に入っておいで。俺の部屋、使っていいから」
信孝さんの手が不意に伸びてきて、指先がそっと頬に触れた。
「の、のぶたかしゃん!」
驚き過ぎて思わず声が上擦ってしまった。
心臓がドキドキバクバクして、心拍数が一気に羽上がった。
「俺はどこでも寝れるから」
いつもの様に穏やかな笑顔をみせてくれる彼。良かった、笑ってくれた。
「酔っ払いの相手はお任せ下さい」
昆さんにも笑顔で言われ、龍さんから逃げるようにお風呂場へ向かった。
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