焼きもち

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「あっ、ご、ごめんなさい・・・」 洗濯機を回そうと、脱衣所のドアを開けたら、お風呂上がりの龍さんが濡れた体をタオルで拭いていた。筋肉隆々の四肢に思わず目が止まり、生まれて初めて見る背中の見事な竜の刺青に釘付けになった。 「もしかして、初めて見るのか?」 「・・・はい」 「なんだ、お前、信孝の肩の刺青、見たことないのか?」 そんなの初めて知った。ビックリして、目をパチパチさせていると、龍さんがニタリと口角を上げ笑った。 「何だ信孝、手加減したのか。てっきり暴走したのと思った」 「り、龍さん!!」 口にするのも恥ずかしい事をさらりと言われ、顔から火が出そうになった。 「そ、そんなことよりも、茉弓さんが言っていた事は本当何ですか?」 「あ!?」 龍さんの顔色が一瞬変わったような気がした。 「”縣尚”の名前が不服か?お前の愛する信孝が、過去には拘らないって言ってくれてんだ。それでいいだろう」 浴室のドアが少しだけ開いて、隙間から光希さんが恥ずかしそうに頬を赤く染めなから顔を出した。 「そうだよナオ。茉弓は、信孝が君を好きなのを分かっていた。君から奪おうとし、罪を犯したーー」 「光希さん・・・?」 「僕の一人言、流していいよ」 にこやかに微笑み掛けてくれた彼を見た、龍さんが途端に機嫌が悪くなった。憮然とし、腰にタオルを巻くと、ガラッとドアを全開した。 「ちょっと!」 慌てふためく光希さんを軽々と肩に担ぐと、 「他の男に色目使うんじゃねぇ」 ぶつぶつ言いながら、脱衣所から出ていった。 「服くらい着させろ」 「どうせ脱ぐんだ」 「りゅ、龍!!」 光希さんがどんだけ抵抗しても、龍さんには敵わないらしい。
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