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ずしりとした大好きな彼の重みを全身で受け止めた。肌と肌が触れ合うのがこんなにも・・・あれ、何かが違う・・・こんなふうに心地いいものではない。氷のように冷たく、重たくのし掛かってきて、優しさの欠片さえなく、荒々しく蹂躙し、僕から何もかもすべて奪っていく・・・
・・・憎い
でも、その人を何故か憎めない。
喉の所まで出掛かってるけど、名前が出てこない。
その時、ふわりと一瞬意識が飛んだ。気が付けば、夢の中で見たあの男性が、情欲の炎をギラギラたぎらせ僕を見下ろしていた。
「ーー邪魔者はいなくなった。ようやく一緒になれる。ナオヤ・・・未来永劫、俺のモノだ」
脚を高く掬い上げられ、自慰しながら、屹立した浅黒い欲望の塊を、後ろの秘所の蕾に捩じ込もうとする男性。
「イヤだ!イヤだ!イャーーーー!!」
ありったけの声で叫んだ。
心拍数が一気に跳ね上がり、はっ、は・・・息が出来ないくらい胸が苦しくて、シーツを掻きむしった。
「ナオ!ナオ!」
信孝さんの声が遠くから聞こえる。
「の、ぶ、たか・・・ん・・・」
彼の名前を呼んで、手を伸ばすも届かなくて・・・ぶちっと糸が切れるように意識を失った。
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