涙に沈む

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地味で陰気臭い、感情がなく可愛いげがない、いるだけ何の使い道もない、邪魔なだけ、そう園長に忌み嫌われていた男の子。 クリスマスイブの日を境に運命が大きく変わった。 兄になった男性は、男の子を溺愛し片時も側から離そうとしなかった。寝るときも、風呂に入る時も、ご飯も一緒。出掛けるときは勿論、転入先の小学校にも付いてくるありさま。 男の子が、男性に妻がいる事を知るのはずっとあとの事でーー 「ーーナオ・・・」 体がふわふわと宙に浮かんでいる僕を、誰かが呼んでいる。 この声は、確か・・・ 信孝さんのだ。一番大好きな人の声。帰らないと、彼きっと心配してる。ごめんね一人にして、傷付けてごめんって謝らないといけないーーそう思ったら意識が浮上してきた。
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