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「一人で食べれるから」
「あちこち管だらけだし、引っ掛かったりしたら大変だから」
「子供じゃない」
「俺からしたらナオはまだ子供。それに病人だし」
昼食が配膳され、甲斐甲斐しく世話をしてくれる信孝さん。目が覚めて、僕が起きてる事に気が付いて、急にわんわんと男泣きをし、昆さんや、看護師さん達がいるにも関わらずハグをしてくれて、なかなか離してくれなかった。
朝食の時もこんな感じで、ずっとつきっきりで面倒をみてくれている。
「もう一口食べる?」
「うん」
「あーーんして・・・熱くない?もう少し冷まそうか?」
「大丈夫」
口を開けると柔飯をスプーンで運んでくれた。
「本当に熱くない?我慢しないで言うんだよ」
心配ばかりしてオロオロする彼に、光希さん必死で笑いを堪えていた。龍さんも苦笑いを浮かべながら、バカップルかお前らって、大きなため息を吐いていた。
昆さんに言われた事、彼には言ってない。
失望した、憤懣やるかたない、怒り心頭に発するーー別れようか・・・そう言われるものだと覚悟していただけに、彼の優しさにただ戸惑うばかりだった。
この場にいない昆さんは会計をしに一階の総合案内所に行ってくれている。さっきまで、病室と廊下を何度も行ったり来たりして、呆れながらも様子を見守ってくれていた。
「信孝、あのことナオに伝えたのか?」
病室は四人部屋。今入院しているのは僕だけ。龍さんが空いてるベットに腰を下ろし、光希さんの腕を引っ張り膝の上に座らせた。
「ちょっと龍!」
顔を真っ赤にして光希さん、慌てふためいていた。
「今さら恥ずかしがってどうする?昨日もカワイイ顔見せてくれたのに。つれないな」
「ここで言うことじゃないだろ・・・んっ・・・あっ・・・」
項をぺろっと舐められ、光希さんの口から甘い声が漏れ、慌てて口で押さえていた。
「急で悪いが、明日親父に会って貰う」
龍さんの手がそろりそろりと光希さんの腰の辺りをまさぐり始めた。
「龍!どこ触ってるんだ!」
「別に減るもんじゃないしいいだろ」
目のやり場に困って顔を逸らすと、信孝さんがそっと手を握ってくれて、頬っぺたに何か温かいものがふわりと触れた。
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