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「み、満ちる?」
「まぁ、千秋! 久しぶり、元気だった? あら? あれからまた太ったのかしら?」
ジャンカルロと過ごしたイタリアは食べ物も美味しいし、ヴィットリオも生んだので十キロほど体重が増えていた。だが、十二年ぶりに会う満ちるは相変わらずスタイルも抜群で、より華やかな大人の女性に成長していた。
二人ともに身長が一六〇センチほどで同じくらいだが、体重は十五、六キロほど差があるように思えた。
「あれから色々なことがあったけれど、何とかやっているわ。満ちるは?」
満ちるも元気そうに見えるが、何故かサングラスを外そうとしなかった。もうマスコミから追われることがなくなった千秋は、既にサングラスで顔で隠すことはしていない。
「ごめんね、千秋。このサングラスが気になっているんでしょう? 病院の都合でレーシック手術の予定が前倒しになっちゃって、術後一週間はサングラスをしないといけないんだって。せっかくの美人が台無しだと思わない?」
開口一番あっけらかんと明るく語る親友の姿や、大人になっても愛らしさを失わない八重歯が魅力的な口元に、千秋は懐かしさを覚えた。
「えっと、伊豆の別荘まではどうやって……」
あたりをキョロキョロ見回すと、赤いスポーツカーに乗っている男性が窓から手を振った。
「あれで行くわよ」
運転免許証を持たない満ちるの代わりに夫の飯島一智が、伊豆にある飯島家の別荘へと連れて行ってくれることになっていた。
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