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やがて、千秋の身の上に不可解なことが起こり始める。周囲にいる人々は千秋を飯島満ちるだと信じ、手厚い看病を続けている。症状が落ち着き冷静になって周囲を見回すと、まるでホテルのように豪華な病院の個室にいた。
ここは飯島一智の親友五十嵐善英の美容クリニックだという。彼は「黄金の指」と称されるほどの腕の良い美容整形外科医で、国内外のセレブからオファーが来るほどの人気ぶりだそうだ。今回、親友の妻の一大事を聞きつけて、治療を買って出てくれたらしい。
長年日本を離れていたため千秋は洋菓子店「デュ・ミエィル」がどれほどの規模で全国に展開しているか知らない。だが、この対応を見る限り満ちるは裕福な家庭の女主人で、その夫は社旗的地位を確立しているらしい。
あの薄っぺらいイケメンがやり手社長には見えないが、彼は由緒正しき三代目だという。
ところが、看護師の話では満ちるの夫はあのイケメンではなく、時折顔を出していたやや厳めしい雰囲気の男性だと判明する。千秋が満ちるに紹介されたのは、夫である一智の従兄弟・飯島彬夫だったそうだ。
何故か満ちるは真実を隠し、千秋に嘘をつき通したのか?
そして、彬夫も一智の振りをしていたのだろうか?
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