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「そんな高価な機械をどうしたのじゃ?」
「JAの百姓共済に頭を下げて、融資を願ったんじゃ」
「ほえー、そんなに簡単に貸してくれるものけぇ?」
「それが、そうなんじゃ。都さ持っていけば、何百貫文にもなる最高級の織物だと聞いて共済さんも大乗り気でのぉ。あっさり融資してくれおったわい」
「なんとまあまあ、この不景気のご時世に、強気な銀行じゃこと」
「イケイケドンドンじゃ。バブルの夢よカムアゲイン! と言ったところかのぅ」
遠山様、山科様から命じられた反物を無事に納め終えると、これで命がつながったわい、とじさまとばさまは泣いて喜んだ。命拾いしたばかりではない。その年アパレル業界でのもっとも優れた業績に対して授与される西陣賞まで受賞して、一同はガッツポーズ、喜びを爆発させた。
つゆたちはもはや鎖で繋いで監禁する必要もなかった。美しい布を織り、ご馳走を食べる暮らしに満足しておったのじゃ。天敵や猟師に四六時中怯え、エサを求めて一日中飛び回る野生の暮らしよりもよほど楽しかったそうな。
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