つるのおんがえし株式会社

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 そうなるといつまでも三人川の字で寝るという訳にも行かない。娘に部屋をあてがってやらねば。だが余分の部屋はない。じさまの目がギラリと光る。家の外の、農具や古道具やガラクタを仕舞ってある物置に娘を寝かせればよい。そこには先々代が庄屋様から譲り受けたという古い織機がホコリを被って鎮座しておった。  鶴+織機=鶴の千羽織∴大金持ち  という数式が、じさまの脳裏にNYかLAの繁華街のネオンサインのように、ギラギラと輝いたのじゃった。  自分の部屋を授かった娘はたいそう喜び、晩飯の後片付けを済ませると自分の部屋に下がった「それでは、とと様、かか様、おやすみなさいまし」  じさまとばさまが布団に横になると、ばさまが言った。 「じさまや……」 「なんじゃ、ばさまや」 「あの若いおなごは一体何者じゃ」 「あれはな、本人は認めんじゃろうがの、わしがみるところ、わしが矢を抜いて命を救ってやった鶴の化身じゃと思う」  それを聞いたばさま、突如カッと目を見開き「嘘をおっしゃい! なぁにが鶴の化身じゃ! あげな若くて愛しげな娘っこを一体どこで引っ掛けてきたのじゃ!?」 「いや、決してそのようなことは」 「ふん、どうだか。あやしいものよ」 「ばさまや……」 「あああああ口惜しい! じさまに、よもやそのような甲斐性があろうとは、わしは、この歳までついぞ知らなんだわい!」 「ばさま……それは誤解というものじゃ」 「ふん。もうええ。当分口もききとうないわい」  そう言い捨てると、ばさまは向こうを向いてふて寝してしまった。     
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