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「わからない。本当にわからないんだ。たぶん違うと思う。でも、限りなくお父さんに近い存在なんだと思う」
「ふぅん」わたしの答えを疑っているというよりは、そういうものなのかと感想を言っているような感じだった。「たぶんっていうことは、お母さんとセックスしたの?」
「ええっ?」少女がこんな直接的な質問をしてきたことにうろたえ、そしてこんな質問をできることに驚いた。今時の子どもはその程度の知識はもうあるのだろう。
「告白して、すぐに振られたっていうのは、嘘だったの?」
「いや、嘘じゃない。そう、僕は君のお母さんとセックスした。それから告白したんだ。そして振られた」
「そういう順番もありなんだ。じゃあどうしてお父さんじゃないと思うの?」
「それは」言葉に詰まった。「わからない。君のお母さんは子供の産めない身体だと言っていた。でも君は生まれた。わからない」
今はまだ言うわけにはいかない。どうやって納得してもらうか、いいあぐねた。
「おじさんもわからないことばっかりなんだね。でも、ありがとう」
どうしてか少女はそこであっさりと話を打ち切った。もっと追求されると思っていただけにほっとはしたが、肩すかしを食ったような気分でもあった。
「それにさっき言ったじゃない。はるか、おじさんの子どもになってもいいって。忘れたの?」
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