Side-R②

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 先輩に電話して話すしかないな。  二回のコールの後、先輩が出た。 『何だよ!』 「すみません。俺、バスが来たら乗りますんで」 『ああ?!』 「あと……二十分くらいで来るんですよ。新幹線の時間もあるし、明日からの事もあるんで。何か用事あります?急ぎでなければ、またメールでも電話でもして下さい」 『ふざけ……おわ!』 「どうしました?ってか、先輩、今何を……」 『何でもねえよ!とにかく待ってろよ!あと五分で着く』 「まさか、車運転しながら話したりしてます?違反ですよ」 『え!?そうなの?』 「切りますよ」 『待て、待って!絶対待ってろよ!』 「分かりましたから」  溜息を一つついて、携帯を下ろす。やけに焦っていた。どうしたんだろうか。忘れ物でも?――いや、それなら電話口で言うだろう。  考えても解らないことは考えないに限る。  再度、腕時計を確認すると、バスの到着時刻まであと十五分になっていた。
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