プランシー

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プランシー

明朝がやってきて、店を開ける。時刻管理協会の設定した"時間に関する魔法具の取り扱い条項"の人間なしでの営業期限は昨日までだった。 実際のところ本当にギリギリのところで間に合った。 と言っても店の営業のほとんどは人外相手で、適当な人間が見つかるまでは人間相手の明朝営業はしばらく休んでもいいと思っていたくらいだ。 未だ意識のないカモシカは時々唐突に息でも止まっているんじゃないかといういびきをかき、来客用の一人がけソファで伸びている。 もしかすると明朝営業が終わっても寝ているかもしれない。昔は俺も酒に弱かった。ただの人間だった頃を思い出し頭を振り、仕方なくカモシカに吸音毛布をかけてやる客前で大いびきをかかれちゃたまらない。 そして俺に比べればか細い手を取り節の目立つその指を自分の掌に突っ込むんでふがふがしている彼の寝息を掌の穴に吹きかけさせた。 リリリン!と丸いベルの音が鳴り、どこからともなく「人間確認!」という女声がする。これで時刻管理協会にも俺が人間を用意したことが伝わったはずだ。きっと地団駄踏んで悔しがっていることだろう。頰がほころぶ。
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