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ふと、白い破片が目に止まる。白骨?
オレはなかば無意識にその骨を掴もうとして、ギリギリのところで自重した。現状を変更して研究の妨げになってはいけない。
(でも、ぶっちゃけ、こんな小さな破片一個ぐらい、わかりゃしないか?)
しばし心の中で善と悪が押し問答。そして――
おれはその骨を手に取った。
瞬間、触れる指先が切れそうなほどの光に、体が貫かれた。微かだが深いバイブレーションが全身を震わせる。歴史そのものに触れた感動――と、そのときは思ったのだが、実はそんな生易しいものではなかったということに気づくのは、ずっと先のことだった。
手に持っているものが発するオーラに怖気づいてか、やはり何も動かすべきじゃないな、と考え直して、骨片を元の場所にそっと戻した。ブルーシートも元通りに整えて、まっすぐ家に帰った。
そして翌朝、学校に登校するとすぐに職員室に佐々木先生を訪ね、日本史の授業で発掘作業の実習をぜひに! と直訴したのだった。
まさかこんなに早く実現するとは。
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