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「え? じゃあ、あれはウケ狙いじゃないの? てっきり今日のために仕込んだネタかと」
「あいつがウケるために努力するタイプと思う?」
「ウケ狙いじゃないとすると、えっ、本当に武将の霊が取り憑いてるってこと? そんな急にオカルト?」
「そうとしか思えない」と佐々木先生が怖い声を出した「恨みを抱えて死んだ武将たちがぁ、地縛霊となってぇ、この土地に今ぁ……」
「え、やだ、怖いよ先生」
佐々木の野郎は、樫飯さんを怖がらせてご満悦だ。樫飯さん、怖かったら遠慮なくオレにしがみついてくれ。
と、その時。樫飯さんが本当にオレにしがみついて来た。
「田中くん、あれ……」
しがみついている樫飯さんの手の感触、それにこのふにふにとした柔らかい感触は、えーと、これは……思わず樫飯さんの顔を見ると、彼女が怯えながら見ているのは佐々木先生じゃなく、スコップを放り出してひたひたと近づいてくる高橋だった。
「おおお……綾姫、ここにおったか。探したぞ綾姫。ずっとずっとそなたを探しておったのじゃ」
そういいながら近づいてくる高橋の目は完全に何かに取り憑かれている。
「綾姫、ようやくそなたに……」
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