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高橋が間近に迫る。おっぱいの感触にうつつをぬかしている場合ではない! だが、今オレの腕に触れているこのふにふにと柔らかい感触を、深く心に刻んで置かねば、もったいないオバケが出かねない! って、そんな場合か!
オレは樫飯さんをかばうように覆いかぶさり、高橋からガード。そのオレの背中に高橋の手が掛かった。
「おぬし、邪魔立てする気か」
高橋の手が、オレを樫飯さんから引き剥がそうと肩をつかんで引っ張る。ものすごい力だ。危うく引きずり倒されそうになったが、ワシは決死の覚悟で綾姫を守り抜くのみ。
肩を引かれるままに後ろを振り返り、鬼に憑かれたかのような形相に向かって一喝する。
「我が綾姫に手出しは断じて許さぬ。この鷹之丞がお相手いたすぞ!」
そう名乗りをあげつつ、清志丸の腕をねじりあげ、背負投げしようとしたとき、背中に激しい衝撃を受け、二人は共々に、組んず解れつしつつ、どうと地面に倒れ伏した。
気づくと数多の顔がこちらを覗き込んでおる。その中には心配そうな綾姫の顔も。
「綾姫……ご無事であったか」
綾姫は何故か呆気にとられておる。
「ねえ、田中くん、綾姫って誰?」
え、誰って、それは綾……あれ? それは樫飯さん……だったような? ん?
「お前たち大丈夫か? なんかタカノスケとかキヨシマルとか叫んでたようだけど、何のことだ?」と、ハゲ頭が。
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