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オレの隣で横になっていた高橋もむっくりと起き上がったけれど、何か呆然としていて目の焦点が合っていない。きっとオレもそうなんだろう。
「鷹之丞?」
「清志丸?」
オレたちは顔を見合わせた。何か思い出せるような気がする。
「それって……誰だっけ?」
「うーん」
オレたちが首を傾げていると、
「地縛霊ね」
と厳かに宣言する声。学校一のオカルト狂、自称霊能者の権藤夏菜だ。
「地縛霊?」と樫飯さんが尋ねる。
権藤によると、ここは古戦場なので、戦いで無残に殺され、きちんと葬られることもなく、成仏できずにあたりに漂い続けている霊が百ほども見えるという。マジで?
みんなは得意気に説明する権藤を割と冷めた目で見ている。でも、中にはキャーキャー大袈裟に怖がる女子も。権藤が図に乗るからやめれ。
「なんか怖いね」
樫飯さんまで怯えている。
「田中くんと高橋くんは、間違いなく取り憑かれていた」
権藤は自信満々で断言。そう断言されると、そんな気もしてくる。
「え、お前ら、まさか本当に戦国武将の霊に取り憑かれたんだとか言わんじゃろ?」「冗談じゃろ」と回りの連中が口々に。
「え、そうなのかな」とオレ。
「そうなのかな、じゃないじゃろ」たしかに。
「授業中に本気でチャンバラごっことか小学生かよ」で、みんな大笑い。
結局、霊の話はそれで終了。
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