3 ござるウイルス

1/10
前へ
/167ページ
次へ

3 ござるウイルス

「じゃけど、あん時は面白かったよな」 「突然叫びだすけえのー」 「のうのう、またアレやってくれんかのー、アレ」  発掘授業の日から田中高橋ペアは、晴れて『突然戦国武将コンビ』として学級内限定デビュー、みんなにイジり倒されることとなった。  本人たちにしてみれは、晴れてどころじゃない。 「もう飽きたわ」と田中くん。 「同じネタを二回とかやらんし」と高橋くんも同調。  そうやって二人が逃げ回っていると、今度はクラスのみんなが二人を茶化すように、チャンバラごっこをやりだした。 「やあやあ我こそは武田信玄にござる」 「オレだって石田三成にござる」  それはさすがに大物すぎるでしょ。瑠香でも知ってるぐらいだもん。  誰が言い出したのか、この現象を「ござるウイルスの大流行」と命名。パンデミックか。 「各々(おのおの)がた、童子(わらし)めいたチャンバラごっこも大概に致せ。真の武将たるもの、軽々に刀を振り回す真似などせぬものじゃ」 「言ってくれるではないか。いざいざ、勝負じゃ、相手致せ!」 「売られた喧嘩とあれば買わざるを得まい!」  で、またチャンチャンバラバラ。よくもまあ飽きないものだよ男子たち。     
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加