3 ござるウイルス

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 気がつくと、両方の鼻の穴に丸めたティッシュが。道理で息が苦しいはずだ。ってか、樫飯さんの前でこの格好? 死ねる。余裕で死ねる。 「あ、まだ取らないほうがいいよ、血が止まってないかも」と樫飯さん。なんて優しいんだ。天使か。白衣の天使か。 「そうだよー、なにせ、樫飯ちゃん自ら入れてくれた鼻栓だからねー、これは貴重だよ」と権藤「ていうか、ある意味樫飯ちゃんのせいで出た鼻血だからねー、手当するのも当然?」 「なんでだよー!」と樫飯さん「だってさぁ、おかしくない? うちらの脚なんて別に見慣れてるじゃん。今日だけ特別にスカート短いわけでもないし、なんで急に鼻血?」 「それなー。なんなら毎日鼻血出してなきゃならんけえな」  それは何故かと言うと、オレ(田中)にとっては日常の風物詩であっても、オレ(鷹之丞)にとっては、初めて見る衝撃の光景だったからなんだが。これ理解してもらえるのか? 「今日から君のアダ名は『鼻血クン』だから覚悟して」と権藤。 「それだけは勘弁して」 「まあ出ちゃったものはしょうがない、ね、鼻血クン!」樫飯さんまでそんな。  そうやって、オレが女子二人にからかわれている間も、高橋は沈黙していた。高橋が清志丸? そうだとすると。オレは確認しなければならないことが。 「高橋、お前さあ……」  言い終える前に慌てて高橋は立ち上がり、     
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