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「ってことは事実なんだな! いい雰囲気だったらしいじゃん」
「そ、そうでもないよ?」
「このこのー」いや、背中ツンツンしすぎじゃろ。
佐々木先生がわざとらしく咳払い。
「大木さん、私語は謹んでもらえませんかねー?」
「あ、聞こえてました?」
「丸聞こえだし、丸見えだし。何せ、ほら、目の前だしさ」
「すいません、うるさかったですね」
「うるさいという問題では。ま、いいや。で、誰が誰に膝枕したって?」
「それは秘密。個人情報っす」無駄に義理堅い彩乃ちゃん。
「そうなんですか? 秘密なんですか、樫飯さん」
って、突然こっちに振らないでよ。
と、後ろでガタンと大きな音がした。
振り向くと、立ち上がった田中くんがすごい勢いで前に向かっていた。
「佐々木殿に一言物申す。おぬし、いま樫飯殿を怪しげな目つきで見なかったかな?」
「なに言ってんの田中くん。オレはあくまでも教師として、生徒のことを大事に思うからこそ、心配しているだけですよ」そうかなー?
「その言葉に嘘偽りあるまいな」
「ないない」
「武士に二言はないぞ」
「オレだって生徒と不適切な関係になって失職とか望んでないし」
「とはいえ、生徒を大切に思う気持ちが、いつしか男女の愛に変わるおそれがないと言い切れるのかな?」
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