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2 古戦場跡地
佐々木先生、わざと?
何故田中くんと私を同じ発掘チームにするかなー。
こないだの寝言以来、つい意識してしまう。
以前から好意を持たれてるっぽいのは薄々感じてたけど、あれでクラス中に知れ渡ってしまったからね。
まさかこの状況でいきなり告白でもないだろうけど。
「この刷毛どうぞ」と田中くんが手渡してくれる。
「あ、ありがと」愛想笑いするわたし。
「あ、あの」ま、まさか告白か。
「なーに?」平静を装う。
「あ、暑いね」それだけかー。
「そうだね」会話終了。チーン。
彩乃ちゃんとはチームが別れてしまった。彼女は二人でダンスチームを組んでいる仲間。ちょっと(かなり)飽きっぽい人で、演劇部を辞め、映画研究会を辞め、華道部を辞め、でもわたしとの非公式ダンス同好会は奇跡的に続いている。飽きっぽいとはいえ最初から帰宅部のわたしよりずっとアクティブ。
彩乃ちゃんが遠くから無言でエールを送ってきたので、わたしも無言でガッツポーズを返した。
発掘は、それはそれは退屈だった。
真夏かと思うような陽気で汗も出るし、最悪。
何か出てくるなら、ちょっとは楽しいんだけど。
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