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「わたくしはあなた様に好いてもらえぬことを絶望したのではありませんでした。わたくしの一番つらいのは、わたくし自身の望みが叶わぬことよりも、己の愛した人に汚らわしい、醜いと思われることでございます。それなのにわたくしはあなた様に醜いと思われてしまったのでした。わたくしにはもはや生の権利さえ認められ得ぬように感じました。あなたさまの気遣いによりかろうじて支えられていたわたくしの生は、あなたさまに認めていただけない以上潰える運命にあったのです。いまこの手紙を書いているわたくしの横には、兄から取り寄せてもらった小瓶があります。わたくしは命を絶つ決意をいたしました。否、決意というよりも自然とそうなったという方が正しいでしょうか」
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