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処刑
雨音が冷たいコンクリートを打ち付け、バックコーラスを奏でているかの様だ。
薄暗い闇の中、仕切られた塀を背に座っている一人の男。
だが、男の表情は苦痛に歪み生気は無かった。
下半身のズボンは、何故か中途半端に太腿までズリ落ちている。
そして 口には無造作に無理矢理、突っ込まれたであろう男自身の下のモノ。
降り注ぐ雨で、男から流れ出ている赤い液体は、曲線を描きながら証拠と共に排水溝へと流れていた。
「不実な男……」
座り込む男を見下す様に女は呟くと、男の背広の内ポケットから結婚指輪を抜き取り、男の足元へと放り投げた。
永遠の愛を誓い合った指輪は、裏切られた悲しみで涙を流している様に見えたのは、降り注ぐ雨のせいだろうか?
クルクルとコンクリートの上で、悲しみ回る指輪が動きを止めるのを見届けると、女は夜の闇へ姿を消したのだった。
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