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別人の私
私は仕事を終え、自宅アパートに帰りシャワーを浴びて出てきた。
郊外のワンルームだ。
理由は二つ、家賃が安いから。
場所が解り難く目立たないからだ。
バスタオルで髪の毛を拭きながら、クローゼットを開ける。
右側には、地味な色のスーツやコート、セーターが掛かっている。それに合わせた靴とバック。
左側には、露出が高いドレスやスーツ、コスプレ衣類に様々なヒールや靴にバック。
衣装ケースの中には、色々な色と長さのウィッグが入っている。
狭いワンルームには、折り畳み式の丸テーブルとシングルベッド。
私は、テーブルの上に置かれた鏡の前に座り、色々なウィッグを着けては外し別人の自分を楽しんだ。
化粧品一式が入ってる化粧BOXを開けて、メイク類を確認する。付け睫を買って置かなきゃ。グロスも違う色が欲しいな。
そうだ!カラコンは、まだあったっけ?
洗面所に行き洗面台を開けて、カラコンを確認した。
大丈夫。グレーもライトブラウンもブルーもストックはある。カラコンは三色あれば問題無い。
別の衣装ケースには、様々な 帽子やサングラス、ダテ眼鏡と小物類が沢山入っている。
メイクとウィッグと衣装で別人の自分になれる。
時には、秘書の様に凛々しい女。時には、大人の様にセクシーな女。時には、学生の様に愛らしい女。
様々な女になり、演じるのが私は大好きだ。
巻き髪のロングウィッグを被り、胸元がザックリ開いたワンピースを着て、姿見の前に立って色々なポーズを取って見る。
これも良い感じ!
私のお給料の使い道の殆どは、身に着ける物で消えていく。
どれも全て、一度切りの使い捨てだから。
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