狩り

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狩り

天気予報が当たり、外は大雨。 私は、車を走らせ県外へ向かった。 お目当ての深夜営業のBarのネオンが見えて来た。 Barから少し離れた、廃墟倉庫裏に車を停めて、助手席に置いたハンドバックを手に取り車から下りてロックを掛けた。 そして、どしゃ降りの雨の中をピンヒールを鳴らし小走りにBarの出入口へ向かう。 胸元と背中がレースで透けて見える、ボディにフィットした丈の短い黒いワンピースに薄いショールを掛けたセクシーな女の服装にした。 フルウィッグは、赤毛のショートを選んだ。 うっかり傘を忘れて、濡れちゃいました感を出しBarのドアを開けた。 大勢の御客達が一斉に振り返った。 店内中央でダンスして居た男や女も、テーブルで飲んで居た御客もカウンターで女を口説いていた御客も、そしてシェーカーを振っていた店員も。 あえて、ダンスタイムを狙って入ったのに、メイン通りから一本裏のBarと言うだけで、厄介なんだよ。 大都会なら、誰が入って来たって帰ったって気にも止めないのに。 まあいい。別人の私は完璧だ。 大音量の店内の中央を歩き、ダンスしている御客を見渡しながら真っ直ぐカウンターへ向かった。 「すいません。タオル貸して頂けます?」 と、嫌みにならない程度の甘ったるい声で店員へ声を掛けた。 「どうぞ!どうぞ!使って下さい。外、凄い雨でしょう?」 「まさか、こんなに降るなんて!有り難う御座います。これ、洗って返しますから」 「いいですよ」 店員は両手を振る。 「分かりません?また来る口実ですよ」 私は微笑んだ。 「ああ!そう言う事でしたか。なら、お貸ししますよ」 店員は笑って答えたが、視線は私の胸元を見ていた。 「バーボンロックで、お願いします」 店員に注文を伝えると私は、カウンターに座り足を組み、品定めを始める。
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