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悪魔のホットケーキ その1
風呂から出るととりあえずパンツだけ穿いた。入る前に眼鏡を置いた辺りを手探る。頭からタオルを被って、濡れた髪を乾かしていると玄関の扉が勢いよく開いた。
「たっだいまー」
「おかえり」
「ありゃ、風呂入っちゃったの?」
「見りゃ分かるだろ」
ふぅん、と何かを考えた奴の態度が少し気になったが、すぐに持っていた袋の中身を冷蔵庫に仕舞いだしたから特に気に留めなかった(が、後にそれを後悔することになる)。
おもむろに和馬の買ってきた袋の中身を覗いてみた。
「お前、夕飯の材料買いに行ったんじゃないのかよ」
入っていたのはフルーツやら生クリームやらホットケーキミックスやらで、これじゃまるでお菓子作りでもするようだ。
「晩飯にホットケーキとか、実家じゃ絶対できないだろ?」
「これはおやつだろ……」
「まあまあ。俺ホットケーキ作るの上手いからさ」
そういう問題じゃないんだけどな。まあ、甘いものは好きだし別にいいけど。
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