悪魔のホットケーキ その1

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 和馬は手際よくホットケーキの生地を作っていく。フライパンでプレーンを2枚焼き、残りの生地にココアパウダーを入れてさらに2枚焼く。焼いている間に生クリームを泡立て、器にフルーツを盛る。和馬が動く度にホットケーキの甘くてふわっとした香りがして、食欲が湧いてきた。 「クリームは腹下すんだよなぁ……」 「器分けたから盛らなきゃ大丈夫でしょ」  肩越しに和馬の作業を見ていると、チラッと俺を見て口を開いた。 「ところでさ、……服、着ないの?」 「何、ダメ?」  あからさまに視線を逸らすから、ちょっとからかってみたくなった。 「はは~ん? さては照れちゃってるな、お前」 「べ、別に?」 「恋人のパンイチ姿にときめかないのか~?」 「爽太のハダカなんて、赤ん坊の頃から見てるし? いまさら……」  そう言いながら皿に盛ったホットケーキを、畳の部屋に置かれたテーブルの上へと並べる。自分で盛り付けるためのクリームとフルーツも置いた。それから俺へと向き直って。 「でもさ、『据え膳食わぬは男の恥』って言葉があるよね」
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