101人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
和馬は手際よくホットケーキの生地を作っていく。フライパンでプレーンを2枚焼き、残りの生地にココアパウダーを入れてさらに2枚焼く。焼いている間に生クリームを泡立て、器にフルーツを盛る。和馬が動く度にホットケーキの甘くてふわっとした香りがして、食欲が湧いてきた。
「クリームは腹下すんだよなぁ……」
「器分けたから盛らなきゃ大丈夫でしょ」
肩越しに和馬の作業を見ていると、チラッと俺を見て口を開いた。
「ところでさ、……服、着ないの?」
「何、ダメ?」
あからさまに視線を逸らすから、ちょっとからかってみたくなった。
「はは~ん? さては照れちゃってるな、お前」
「べ、別に?」
「恋人のパンイチ姿にときめかないのか~?」
「爽太のハダカなんて、赤ん坊の頃から見てるし? いまさら……」
そう言いながら皿に盛ったホットケーキを、畳の部屋に置かれたテーブルの上へと並べる。自分で盛り付けるためのクリームとフルーツも置いた。それから俺へと向き直って。
「でもさ、『据え膳食わぬは男の恥』って言葉があるよね」
最初のコメントを投稿しよう!