悪魔のホットケーキ その2

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 空いた和馬の右手がテーブルの上へと伸びる。嫌な予感しかしない。 「せっかく風呂入って綺麗にしてくれたんだもん、『据え膳』はちゃんと盛り付けてから食べないとね」  ホイップされたクリーム入りの容器を片手に俺を見下ろす。  ……おい、何する気だ? 「か、和馬、嘘だろ……」  小さめの木ベラでクリームを掬うと、奴はなんの躊躇いもなく俺の胸元へとその塊を落とした。 「ヒッ」 「あ、冷たかった? でもクリームは冷やしておかないとドロドロになっちゃうからね。ほら、こんなふうに」  そう言ってヘラでクリームを満遍なく延ばすように塗り付けてくる。薄く塗られた箇所は体温で溶かされ液体に戻ってしまった。 「ううっ、ベタベタ……、キモい……」 「あははっ。昔からハンドクリームとかボディークリームとか、そういうやつ苦手だったもんね」 「知ってんなら拭いてほしい……」  ケラケラ笑っているが、クリームを塗る手を止めてくれそうにない。
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