2章

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グレイが、床を()って動くアンを見下ろしていた。 アンは挨拶(あいさつ)を返すと、芋虫状態のままでピョンっと立ち上がる。 よほど()れているのだろう。 無理な体勢から、何の()も無くやってのけた。 グレイが言う。 「早く(さなぎ)から(ちょう)になりなよ」 そういわれたアンは、不機嫌そうに首を振った。 グレイは、ため息をついてから続ける。 「今からニコを連れて出るけど、2~3日は留守にするよ。あと数日分の食事は作っておいた。全部貯蔵庫(ちょぞうこ)に入れてあるからね」 「あぁ、よくわからんが頑張ってこい」 無愛想に言うアン。 グレイは気にしせずに外へ行こうとすると――。 「待った」 アンが寝袋姿のままで、グレイを止めた。 そして、左右にユラユラと動きながら言う。 「おみやげを頼む」 「おみやげ? いいよ、なにがいいかな?」 「わからん。だけど、欲しい」 「う~ん、そう言われてもなぁ」 「大事……そういう気づかい大事」 変わらずに無愛想に言うアン。 ユラユラと動くアンを見ながらグレイは、両腕を組んで困った顔をしている。 ニコは、そんなグレイの足に自分の頭を(こす)りつける。 グレイが(かが)み、ニコの頭を()でながら言う。     
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