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グレイが、床を這って動くアンを見下ろしていた。
アンは挨拶を返すと、芋虫状態のままでピョンっと立ち上がる。
よほど慣れているのだろう。
無理な体勢から、何の苦も無くやってのけた。
グレイが言う。
「早く蛹から蝶になりなよ」
そういわれたアンは、不機嫌そうに首を振った。
グレイは、ため息をついてから続ける。
「今からニコを連れて出るけど、2~3日は留守にするよ。あと数日分の食事は作っておいた。全部貯蔵庫に入れてあるからね」
「あぁ、よくわからんが頑張ってこい」
無愛想に言うアン。
グレイは気にしせずに外へ行こうとすると――。
「待った」
アンが寝袋姿のままで、グレイを止めた。
そして、左右にユラユラと動きながら言う。
「おみやげを頼む」
「おみやげ? いいよ、なにがいいかな?」
「わからん。だけど、欲しい」
「う~ん、そう言われてもなぁ」
「大事……そういう気づかい大事」
変わらずに無愛想に言うアン。
ユラユラと動くアンを見ながらグレイは、両腕を組んで困った顔をしている。
ニコは、そんなグレイの足に自分の頭を擦りつける。
グレイが屈み、ニコの頭を撫でながら言う。
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