31章

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31章

その場にいた者すべてが、アンとキャスの前に出てきたストリング帝国の戦闘車両――プレイテックに注目していた。 運転席と助手席から、帝国の兵2人が降り、後部座席のドアを開く。 車内から帝国の制服に身を包んだオールバックの男――ノピア・ラシックが現れる。 周囲にいた機械兵――オートマタたちが、ノピアを守るようにその周りを囲い始めた。 ノピアは、首に巻いた黒いスカーフの位置を直すと、キャスに声をかける。 「無事で何よりだったな、キャス将軍。突然行方不明になってしまって、私も心配していたんだ」 キャスは、その言葉に表情を歪めた。 元はといえば、この男のせいで反帝国組織(バイオ・ナンバー)に捕まったのだ。 「ふざけるのも大概(たいがい)しろ、ノピア将軍。すべてお前が仕組んだことだろう」 キャスが(にら)みつけながら言うと、ノピアは身に覚えがない様子で、(あご)に手をやり首を(かし)げる。 「はて、一体なんのことかな? 私には将軍の言っている意味がよくわからんよ」 「しらばっくれおって。お前は忘れたのか。我が帝国の軍律(ぐんりつ)では、味方への攻撃は重罪だぞ」     
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