2章

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「わかったけどさ、アンが欲しいモノがわからないと、なにをおみやげにすればいいのやら」 「なんだっていい。こういう約束が大事」 そんなアンを見てグレイは、変なところで甘えん坊だと、またため息をついた。 そして、お土産(みあげ)の約束をすると、手を振ってそのまま部屋を後にする。 それからアンは寝袋から出て、寝間着(ねまき)から着替えた。 白いパーカーに、軍服である深い青色のカーゴパンツ。 任務中(にんむちゅう)と、さして変わらない格好(かっこう)だ。 アンは、グレイが用意してくれた朝食に目を向ける 庭で育てている生野菜とそれを使ったスープ、それから自家製のパンだ。 アンは、一人で食べながら思う。 ……グレイはなぜ機械が作った料理を食べないようとしないのだろう。 仕事中の食事も、絶対にお弁当を持たせるし。 食材集めだって大変だろうになぜ? なにかと骨董(レトロ)なものを集めているし、手間がかかって面倒くさいのが好きなのか? そう思っていたアンは、スープを口に運ぼうとしていた。 だが、急に手が止まる。 ……手間がかかって面倒くさい。 ああ……私のことだ……。 一人、(にが)い顔をしたアン。 食事を食べ終え、そのまま外へ。 今日は部隊の同僚たちと会う約束をしていた。     
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