31章

3/4
前へ
/162ページ
次へ
急速に変化していく筋肉と骨が、メキメキと鳴ったかと思うと、今度は金属同士がぶつかり合う音が鳴り始めた。 そして、一瞬で二人の姿が白い鎧甲冑(よろいかっちゅう)へと変わる。 「オオオアァァ!!!」 機械化した2人のデジタルな咆哮(ほうこう)。 機械人形――オートマタの姿になった。 「マシーナリー・ウイルスだ……」 アンが後退(あとずさ)りしながら(つぶや)いた。 その表情には恐怖の色が見て取れる。 「これでもう心配はいらないな」 「貴様!! 自分の立場のために側近(そっきん)を!!!」 キャスが軽蔑(けいべつ)の叫び声をあげた。 笑みを浮かべたノピアは、キャスの横にいるアンの姿を見て言う。 「アン、君もいたんだな。丁度よかった。ふむふむ……。では、こういうシナリオはどうだろう?」 ノピアは両手を広げて、演説でもするかのように話を始める。 「キャス将軍は、脱走したアン・テネシーグレッチを見つけて、反帝国組織(バイオ・ナンバー)へ寝返ったというのは?」 ノピアが言うに――。 完全に機械化せず、自我を(たも)ったままオートマタの力を使えるアン。 その力に目が(くら)んだキャスは、力を自分のものにするため、アンと共に反帝国組織(バイオ・ナンバー)へ――。 というのが、ノピアのいうシナリオだった。     
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加