32章

1/4
前へ
/162ページ
次へ

32章

そんなキャスの姿を見たノピアは、正面を向いたまま下がっていった。 口元を歪めて、キャスを(にら)みつけるノピア。 周りにいた機械兵オートマタたちが、ノピアの盾になるように前に出る。 それから即座(そくざ)に電磁波放出装置――インストガンを構えた。 狙いをつけられたキャスの身体から、水流(すいりゅう)の音が聞こえ、その身を()き通った水が包んでいく。 全身に(まと)った透き通った水が、太陽の光を()びて青みを()びる。 その姿は大昔の物語に出てくる四大精霊(しだいせいれい)のうち、水を(つかさど)精霊(エレメンタル)――ウンディーネを彷彿(ほうふう)とさせた。 「早く撃て」 ノピアがオートマタへ指示を出した。 だが、電磁波が放出されるより先に、キャスのかざした(てのひら)から、津波(つなみ)のような勢いで大量の水が飛び出していく。 その波に吹き飛ばされていくオートマタ。 しかし、すでにノピアの姿はそこにはなかった。 アンが両目を大きく開けて言う。 「えっ!? キャス、お前も特別な力が使えるのか!? で、でも、さっきシックスのことをあんなに驚いていたじゃないか!?」     
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加