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32章
そんなキャスの姿を見たノピアは、正面を向いたまま下がっていった。
口元を歪めて、キャスを睨みつけるノピア。
周りにいた機械兵オートマタたちが、ノピアの盾になるように前に出る。
それから即座に電磁波放出装置――インストガンを構えた。
狙いをつけられたキャスの身体から、水流の音が聞こえ、その身を透き通った水が包んでいく。
全身に纏った透き通った水が、太陽の光を浴びて青みを帯びる。
その姿は大昔の物語に出てくる四大精霊のうち、水を司る精霊――ウンディーネを彷彿とさせた。
「早く撃て」
ノピアがオートマタへ指示を出した。
だが、電磁波が放出されるより先に、キャスのかざした掌から、津波のような勢いで大量の水が飛び出していく。
その波に吹き飛ばされていくオートマタ。
しかし、すでにノピアの姿はそこにはなかった。
アンが両目を大きく開けて言う。
「えっ!? キャス、お前も特別な力が使えるのか!? で、でも、さっきシックスのことをあんなに驚いていたじゃないか!?」
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