33章

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「人生には自分では思いもよらない不幸が突然降りかかってくる。だが、まあいいさ。私が負けることなどあり()ないのだから」 ゴキッという音がした。 関節がはずれたときや、骨が折れたり曲がったりしたときの、あの音だ。 ノピアの顔に浮かぶのは、歓喜とも苦痛とも取れる表情だった。 そして、今度は金属同士がぶつかり合う音が鳴り始めた。 着ていた紺色の制服を突き破り、ノピアの姿が白い鎧甲冑(よろいかっちゅう)へと変わっていく。 機械化は顔の半分くらいまでで止まり、かろうじてそれが人間であったことがわかるものになった。 ノピアの変化した白い腕が、アンの足を掴んで高々と持ち上げる。 「まだ実験段階だが、私も君と同じようにマシーナリー・ウイルスをコントロールすることに成功したんだ」 機械人形(オートマタ)となったノピアだったが、本人の言う通り、アンと同じく自我は(たも)てているようだった。 それでも常に痛みがあるのか、その表情は苦しみの色が()く表れている。 「私がこんなところで終わってたまるか!! 力を、もっと力を手に入れるんだ!!!」 逆さ()りに持ち上げたアンをブラブラを()らしながら、デジタルな咆哮(ほうこう)をあげるノピア。 それを見たキャスとシックスの表情からは血の気が引いていく。     
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