128人が本棚に入れています
本棚に追加
「人生には自分では思いもよらない不幸が突然降りかかってくる。だが、まあいいさ。私が負けることなどあり得ないのだから」
ゴキッという音がした。
関節がはずれたときや、骨が折れたり曲がったりしたときの、あの音だ。
ノピアの顔に浮かぶのは、歓喜とも苦痛とも取れる表情だった。
そして、今度は金属同士がぶつかり合う音が鳴り始めた。
着ていた紺色の制服を突き破り、ノピアの姿が白い鎧甲冑へと変わっていく。
機械化は顔の半分くらいまでで止まり、かろうじてそれが人間であったことがわかるものになった。
ノピアの変化した白い腕が、アンの足を掴んで高々と持ち上げる。
「まだ実験段階だが、私も君と同じようにマシーナリー・ウイルスをコントロールすることに成功したんだ」
機械人形となったノピアだったが、本人の言う通り、アンと同じく自我は保てているようだった。
それでも常に痛みがあるのか、その表情は苦しみの色が濃く表れている。
「私がこんなところで終わってたまるか!! 力を、もっと力を手に入れるんだ!!!」
逆さ吊りに持ち上げたアンをブラブラを揺らしながら、デジタルな咆哮をあげるノピア。
それを見たキャスとシックスの表情からは血の気が引いていく。
最初のコメントを投稿しよう!