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34章
キャスとシックスは、アンが持ち上げられているので手が出せず、表情を歪める。
2人はどうしていいのかわからず、その場で身を固くしているしかなかった。
脚を掴まれ、逆さ吊り状態のアンは、まだノピアを睨みつけている。
「世界では化け物が人の暮らしを脅かしているというのに、どうして私たち人間同士が戦わなければいけないんだ?」
アンは、吊るされたまま訊いた。
掴んでいるアンの顔を覗き込むノピア。
そして、半分機械化した顔で笑みを浮かべる。
「アン・テネシーグレッチ……君は、この世界からキメラをすべて消すことができると思っているのか?」
質問を質問で返したノピアは言葉を続ける。
「いや、できない。そんなことはできるわけがないのさ。それはこの世から飢えや病気をなくそうとしていることと同じだ。だからこそ我々はより優位を保つために、力を必要としている。残念なことに彼らは抵抗してきた。お互いの意見が合わないなら戦うしかないだろう」
「自分が実験に使われるなんてわかれば抵抗するに決まっている! お前たちはそんなに偉いのか!?」
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